「源泉所得税月額表」の見方を【分からない初心者】向けに解説

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自分もそうでしたが、入社間もない頃は給与計算にすごく苦手意識がありました。

「源泉所得税月額表」で源泉所得税は求められるよ!って言われても

分かりますか?(笑)

 

正直、分からないですよね。

 

みんな簿記の勉強をしていれば大丈夫って思ってるので、入社前にこういった知識を身につけていないです。

なので、基本的な知識を見つけいないと苦労します。

 

しかし、実務では給与計算をする時もあります。

給与計算では、毎月の給与から差引かれる源泉所得税を自分で求める必要があります。

 

なので、今回の記事では、「源泉所得月額表の見方」について分かりやすく解説していきます。

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源泉所得税月額表に必要な情報

源泉所得税額は「源泉所得税月額表」から求めます。

 

給与計算ソフトに入力されていれば自動的に計算されますが、初期設定や金額がおかしいと気付いて修正する時にどのように計算されるかをしている必要があります。

 

例えば、年末調整という年間の給与と源泉所得税を集計する作業がありますが、
その時に

「あれ?なんでこんなに追加で徴収するんだ?」

「なるほど!給与ソフトの設定が間違っているんだな」

ということに気付く必要があります。

 

そのためには、どうやって月々の源泉所得税が求められているのか理解していなければなりません。

 

もしも、理解していないと

「いやー、何でそうなるのか分かりません」

ということになってしまいます。

 

これだと、専門職についてる意味がないですよね。

 

難しそうな言葉で一見、とっつきにくいかもしれませんが、見方は簡単なので覚えてしまいましょう。

 

「源泉所得税月額表」を見るのに必要な情報は以下の3つです。

・その月の社会保険料等の控除額後の給与等の金額
・甲欄または乙欄か
・扶養親族等の数

この「3つ」の情報から、毎月の給与から差引く源泉所得税を求めることができます。

それでは、順番にみていきましょう。

その月の社会保険料等の控除額後の給与等の金額

「その月の社会保険料等の控除後の給与等の金額」は

給与等の金額 - 社会保険料

で求められます。

計算は簡単ですが、言葉を知らないと計算もできないので、給与等・社会保険料が具体的にどんなものなのかも説明していきます。

給与等の金額

給与等の金額は「基本給」のほかに、「残業代・資格手当など」も含めます。

※通勤手当は含めません。

それは通勤手当には所得税がかからない 

という理由からです。

 

例えば、通勤手当が1万円だったとすると

・所得税がかからない → 1万円もらえます。

・所得税がかかる → 所得税を差引いた1万円よりも低い金額をもらう。

という違いがあります。

 

なので、忘れずに給与額から通勤手当を除外しましょう。

従業員の手取りが少なくなってしまうので。

社会保険料等の金額

会社員であれば自分で国民健康保険料を払うことはあまりないです。

それは、会社の社会保険に加入しているからです。

 

会社が社会保険料を支払ってくれているので、その半額を従業員の給料から徴収しているというわけです。

この給与から差引かれる社会保険料分は所得税がかかりません。

 

なので、給与等を計算する時は

社会保険料を除外します。

 

社会保険料はいくつか種類があり、以下をまとめた言い方です。

・健康保険料
・介護保険料
・厚生年金保険
・雇用保険

※介護保険料は40歳以上の従業員から徴収をするので、25歳くらいで「あれ?介護保険料が引かれていないぞ?徴収漏れ?」と思う必要はありません。

「その月の社会保険料等の控除額後の給与等の金額」を計算する

では、具体的な例をみていきましょう。

ある月に受け取る給与の内訳が

給与   220,000円
残業代  10,000円
資格手当 15,000円
通勤手当 10,000円

健康保険料 10,824円
厚生年金保険 20,130円
雇用保険 1,410円

とします。

 

それぞれ計算すると

・給与等の金額 = 給与+残業代+資格手当 

        = 245,000円 

・社会保険料 = 健康保険料+厚生年金+雇用保険

       = 32,364円

となります。

 

結果、

「その月の社会保険料等の控除後の給与等の金額」

給与等の金額 - 社会保険料 = 245,000円 - 32,634円

               =  212,366円

となります。

 

繰り返し説明しますが、

「給与等の金額」は「残業代・資格手当など」も含めますが、
通勤手当は含めません!

「甲欄」または「乙欄」か

「甲欄」と「乙欄」と言われてもイメージ的に何だか「難しそうだなー」っと拒否反応が起きそうですね。

しかし、給与計算には必ず「甲欄」「乙欄」の違いを理解しておくことが重要です。

 

簡単にいうと、「扶養控除等申告書」の提出を

「している」or「していない」

の違いです。

 

ちなみに、こんな書類です。
入社すると最初に会社に提出します。

出典元:国税庁

「甲欄」

「扶養控除等申告書」はメインで勤めている勤務先に提出します。

(一つの勤務先にしか提出できません)

甲欄は「扶養控除等申告書」を「提出している」従業員のことをいいます。

 

「乙欄」

乙欄は「扶養控除等申告書」を「提出してない」従業員のことをいいます。

つまり、その従業員は勤務先が複数あり、別の勤務先に「扶養控除等申告書」を提出しています。

 

例えば、週3日を経理職で働いて週1・2日はカフェで働いているような人は

メインの勤務先の経理職の会社に「扶養控除等申告書」を提出します。

給与の計算は

経理職の会社 → 甲欄
カフェ    → 乙欄

でされることになります。

扶養親族等の数

扶養親族等の数は

「源泉控除対象配偶者」及び「控除対象扶養親族」

となります。

 

簡単に言うと,養っている人の数です。

 

源泉所得税はみんな同じ割合でひかれるわけではありません。

例えば、養わなければならない家族がいればその分、源泉所得税が低くなるように設定されています。

家族が多くなればそれだけ負担が低くなるわけです。

 

たとえば、

扶養親族等の数が0人と7人の場合の、源泉所得税の金額の違いを
見てみましょう。

給与等から社会保険料を引いた金額が372,000円
だとすると

扶養親族等の数  源泉所得税

0人     →    14,300円
7人     →    0円

となります。

これはかなり極端ですが(笑)、これだけ違うこともあるので、扶養親族等の数を間違えないように注意が必要です。

源泉所得税月額表の見方

これまでに「源泉所得税月額表」をみるのに必要な情報

・その月の社会保険料等の控除額後の給与等の金額
・甲欄または乙欄か
・扶養親族等の数

について説明してきました。

用語ばかりで見にくいなと感じるかもしれませんが、一つ一つは難しいことは言っていないので、あまり身構えずに続きもみてください。

では、これから実際に源泉所得税月額表をみていきます。

 

例えば、

●給与等の金額 245,000円

給与   220,000円
残業代  10,000円
資格手当 15,000円
通勤手当 10,000円

 

●社会保険料  32,364円

健康保険料 10,824円
厚生年金保険 20,130円
雇用保険 1,410円

だっととしましょう。

甲欄の場合

●甲欄か乙欄

→甲欄

●扶養親族等の数

専業主婦の奥さん  1人

高校生2年生の息子 1人

→合計 2人

のモデルで考えてみましょう

 

実際の「源泉所得税月額表」を確認していきます。


出典元:国税庁

①まず、給与等の金額から社会保険料を差引きます。

給与等の金額 245,000円
社会保険料  ▲32,364円

→差引き 212,636円

 

そして、赤枠の中から該当する金額の範囲を探すます。

見ていくと

211,000円~213,000円の範囲におさまっていますね。

この範囲の金額を横にみていくので、赤ラインを引きました。

 

②甲欄か乙欄か確認します。

甲欄なので、緑枠の部分をみていきます。

③扶養親族等の数を確認します。

今回は2人なので、青枠を見ます

 

どうでしょうか。
分かりましたか?

給与から差引かれる源泉所得税は

赤ライン緑枠青枠が交わるオレンジの★マークの1,960円となります。

1,960円が給与から差し引く源泉所得税額となります。

乙欄の場合

乙欄の場合は甲欄とは少し見方が変わります。

 


出典元:国税庁

①まず、給与等の金額から社会保険料を差引きます。

乙欄はメインの勤務先ではないので、社会保険料の加入はないものとします。
(雇用保険のみ)

給与等の金額        245,000円
社会保険料(雇用保険のみ)  ▲735円 円

→差引き 244,265円

 

赤枠の中から該当する金額の範囲を探すます。

そうすると242,000円以上~245,000円未満の範囲におさまります。

なので、赤ラインの金額をみます。

 

②甲欄か乙欄か確認します。

今回は「乙欄」なので緑枠をみていきます。

ここで気付きましたが?

 

乙欄には甲欄ではあったはずの「扶養親族等の数」がありません。

あれ?なんでないんだろ?と心配にならないで大丈夫です。

実は、乙欄では「扶養親族等の数」を確認する必要はありません。

それは甲欄よりも乙欄の方が源泉所得税が高くなるようになっているからです。

 

なので、給与から差引かれる源泉所得税は、

赤ライン緑枠がかさなるオレンジの★マークの34,400円になります。

まとめ

いかがでしたか?

今回は源泉所得税月額表の見方を紹介してきました。

これを正しく見れると毎月の給与から徴収すべき源泉所得税を自分で求めることができるようになります。

 

おさらいですが、

 

「源泉所得税月額表」を見るのに必要な情報は

・その月の社会保険料等の控除額後の給与等の金額
・甲欄または乙欄か
・扶養親族等の数

です。

そこから、源泉所得税月額表をみてそれぞれの条件が重なる金額を探します。

作業自体は簡単です。

しかし、簿記の勉強ではこういった知識は学ばないので、入社してから知る人がほとんどだと思います。

 

難しそうな用語が多いので、とっつきにくいかもしれませんが、必要な知識は前もってみにつけておいたほうがよいです。

 

「別に自動計算されるから、関係なくない?」

と思う人もいるかもしれません。

 

確かに、給与ソフト・エクセルファイルで自動的に計算されます。

 

しかし、計算がおかしい時も設定ミスに気付かないですし、初期設定の方法も分かりません。

 

それに何をもとに計算されるのかが分かっていないと、苦手意識もでてきてしまいます。

これってかなり仕事ではストレスになります。

なので、毎月の給与から差引かれる源泉所得税を自分で求められるように、この記事で基本的なことを覚えてみてください。

コメント

  1. lapaix より:

    わかりやすい記事をいつもありがとうございます。今回も為になりました。
    自分自身も簿記だけを取得し、会計事務所に就職しました。周りは『分かって当然』という雰囲気で、質問がしにくい環境です。。。
    takuさんのようになれればと、
    今後も参考にさせてもらいます。

    • taku より:

      コメントありがとうございます!
      たくさん覚えることがあって大変ですよね。
      でも、なかなか質問がしにくい環境というのは分かります。

      とにかくやりながら覚えていくしかないですよね。
      (私もまだまだですが)

      そう言っていただけると嬉しいです!
      これからも有益な情報を発信するように心がけます。
      大変な状況かと思いますが一緒に頑張りましょう!

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