日雇労働者【丙欄】の源泉所得税の計算方法について【源泉所得税額表の見方】

スポンサーリンク

「日雇労働者も源泉徴収するんですか?」

「丙欄ってなんですか?」

という人のための記事です。

 

簿記の勉強だけしていて

「日雇労働者も源泉徴収するんですか?」

「いくら源泉徴収するんですか?」

と聞かれたらちょっと驚いてしまいますよね。

私自身が関わっているクライアントで日雇労働者を雇っているのはレアケースです。

しかし、日雇労働者を雇う機会が少なかったとしても覚えておくとよいです。

 

例えば、先輩に入力を依頼されて給与台帳に入力されていない人に給与を10,000円を支払っていたとして、そのままスルーをしたら

「給与台帳にも入力されていないけど、確認が必要じゃない?」

「日雇労働者でも源泉徴収は必要じゃん?」

と言われてしまうかもしれません。

 

実際に私自身もそういう時はありました。

 

何故スルーをしてしまったかというと

「日雇労働者の源泉徴収」

について何もしらないから何を確認して良いかが分からなかった、というのが正直がなところでした。

 

「おそらく何かしら確認した方がいいんだろけど、どうしたらいいんだろ?」

「確認作業に時間もかけられないしとりあえずスルーしよ。。」

「何か指摘されたらその時に覚えよう(汗)」

という感じです(笑)

このように知らないと私のようにどうしても避けてしまいガチになってしまいます。

これで先輩・上司もなにも指摘してくれなければ

「あれ?何も指摘されないけど、どうだったんだろ?」

ということになって、苦手意識がずっとのこってしまいますね。

 

それはマズイので、この記事では苦手意識をもたないように、

日雇労働者の源泉所得税はいくら徴収すればよいのか

を自分で計算できるように解説していきます。

スポンサーリンク

日雇労働者の雇用期間は【2ヵ月以内】

日雇労働者ってなんですか?

と言われると一日だけのバイト?って思ってしまうかも

しれませんが、必ずしもそういうわけではありません。

 

日雇労働者とは

「雇用期間が2ヵ月以内の労働者」

のことをいいます。

 

例えば、1ヵ月間のリゾートバイトのようにあらかじめ雇用期間が2ヵ月以内決まっている労働者も日雇労働者といいます。

 

日雇労働者だからといって給与の支払は日払い限定ではありません。

まとめて月末支払・翌月支払でも日雇労働者になります。

 

むしろ実務では日払いは少ないのではないかと思います。

源泉所得税額表(日額表)から源泉所得税を計算する

日雇労働者の「源泉所得税は源泉所得税額表(日額表)」をみて計算します。

ちなみに、一般の従業員は「源泉所得税は源泉所得税額表(月額表)」をみて計算します。

※「源泉所得税は源泉所得税額表(月額表)」の見方も知りたいという人は以下の記事をみてください。

404 NOT FOUND
誰でも理解できるように、分かりやすさを第一に心がけています!!

日雇労働者は「丙欄」

日雇労働者は「丙欄」です。

給与を支払う従業員は「甲欄・乙欄・丙欄」の3つに分類します。

 

簿記だけを学んでいる人は「何だこれ?」と思うかもしれませんが、「甲欄・乙欄・丙欄」の3つがあってそれぞれ源泉徴収される金額が変わるんだなと覚えておいてください。

簡単にどういう分類かと言うと、

 

「甲」→扶養控除等申告書を提出している従業員

「乙」→扶養控除等申告書を提出していない従業員

「丙」→日雇労働者

といった感じです。

 

ちなみに、扶養控除等申告書はこういった書類です。

あなたが会社に入社したらすぐにこの書類を提出していると思います。

源泉所得税の計算は働いた日ごとに計算する

一般の従業員のように給与の締め日に源泉所得税を計算します。

月に一回、源泉所得税を計算するわけです。

 

しかし、日雇労働者は「働いた日ごとに計算します。」

 

2週間働いたら、1日ごとに源泉徴収を計算します。

 

つまり、2週間働いた合計金額から源泉所得税を計算するということはしません。

 

くれぐれも、2週間の給与合計金額を働いた日数で割って一日あたりの給与から計算してはダメです。

 

「日雇労働者は働いた日ごとに計算します」

これを間違えると正しい源泉所得税を計算できないので注意してください。

源泉所得税額表(日額表)の見方

では実際に源泉所得税額表(日額表)を見ていきましょう。

繰り返しますが、丙欄の源泉所得税は「働いた日ごと」に計算します。

まずは、赤枠

「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」

が収まる範囲をもとめます。

日雇労働者の場合は普通は社会保険料は発生しないので、難しく考えずに給与の金額と考えて大丈夫です。

重要なのは給与等の金額に「交通費は含めない」ということです。

それは交通費には所得税はかからないからです。

 

これってかなり重要なんです。

 

給与等の金額が高ければ、それだけ差引かれる源泉所得税は高くなります。

もしも、交通費を含めてしまうと源泉所得税が高くなり、その分手取金額が少なくなる事になってしまいます。

 

 

次に、その該当する範囲を右に見ていき、右端の緑枠丙欄の税額をもとめます。

どうでしょうか。

一見数字がバーっと書いてあるので難しそうと思ってしまうかもしれませんが、見方は簡単なので安心してください。

では、具体例をみていきましょう。

具体例で源泉所得税額表(日額表)を見る

日雇労働者 Aさんが5日間働いたとします。

1日目 給与8,000円  交通費700円
2日目 給与10,300円 交通費700円
3日目 給与9,000円  交通費700円
4日目 給与10,000円 交通費700円
5日目 給与8,000円  交通費700円

 

●1日目 給与8,000円  交通費700円

まずは、「その日の社会保険料等控除後の給与等の金額」を見て該当する範囲を探しましょう。

給与8,000円なので、8,000円以上・8,100円未満が該当します。

次に赤ラインを右にみていき緑枠の丙欄の税額をもとめます。

今回の場合は源泉所得税は丙欄のオレンジの★マークの0円です。

繰り返しますが、給与等に「交通費は含めません」。

 

●2日目 給与10,000円 交通費700円

給与10,000円なので、10,000円以上・10,100円未満が該当します。

赤ラインを右にみていくと丙欄の税額はオレンジの★マークの27円になります。

 

●5日間の合計の源泉所得税額

1日目・2日目と同じように計算をすると5日間の源泉所得税の合計金額は65円になります。

1日目 0円
2日目 38円
3日目 0円
4日目 27円
5日目 0円

→合計 65円

という結果になります。

給与が9,300円未満であれば源泉徴収しない

既にあなたは気付いたかもしれませんが、9,300円未満の場合は源泉徴収しません。

だから何?
わざわざ言う必要ある?

と思うかもしれませんが、これはけっこう大事なことです。

 

これを知っていると楽です。

 

給与を支払った時にちゃんと源泉徴収をしているかどうかが重要になるので、給与が9,300円未満であればそんなことは気にする必要がありません。

 

つまり、9,300円未満の給与で

源泉所得税額表をみていちいち確認する人

9,300円未満なので、源泉徴収なしでOKとすぐわかる人

ではだいぶ違いますよね。

 

また、クライアントなどに説明する時も

 

日雇労働者への給与が9,300円以上だと源泉徴収する必要があるので、源泉所得税額表(日額表)をみて源泉所得税額を計算してください

と伝えられます。

 

「9,300円以上だと源泉徴収する必要」

 

というのを覚えておくと便利なのでぜひ覚えてください。

日雇いバイト(丙欄)の源泉徴収で実務で困ったこと

「9,300円以上だと源泉徴収する必要」

というのを知らない経理の人も多いかもしれません。

 

これは実際にあった話ですが、担当が変わったばかりのころ

 

クライアントから日雇労働者の給料を支給するので支給額が合っているか確認をしてほしいと依頼されたことがあります。

9,300円を超えている日があったので、その日は源泉所得税が発生すると伝えたら

 

「えっ何でですか?前の担当の人からは12,000円未満だったら源泉所得税はかからないと言われたんですけど」

と言われました。

 

「12,000円!?」
「どっからその金額がでてきたんだ?」

 

と訳が分からなかったので一旦電話を切って前任の担当者が以前に送ったメールを見てみると

 

以前にも同じように源泉所得税を確認してほしいと依頼があったようで、

「12,000円を支給している日は源泉所得税がかかる」
という説明をしていました。

 

どうやら、2週間ほど日雇労働者を雇って源泉徴収が必要となる9,300円以上の支払が発生した日の給与が12,000円だったようです。

 

つまり、クライナントが勘違いをして12,000円未満は源泉所得税がかからないと思い込んでしまったというでした。

 

※前にも日雇労働者の給与が9,300円以上になると源泉徴収が必要になるので、源泉所得税額表(日額表)を確認してくださいと伝えてはいたらしいです。

まとめ

今回は日雇労働者の源泉所得税について説明していきましたが、簡単におさらいをしていきます。

まず、日雇労働者とは

「雇用期間が2ヵ月以内の労働者」のことをいいます。

 

給与の支払は毎日支払われなくて翌月にまとめて支払われる契約でも日雇労働者となります。

 

次に源泉所得税は「源泉所得税額表(日額表)」を使ってもとめます。

 

ポイントは

・働いた日ごとに源泉所得税を計算する
・給与等に交通費は含めない

事です。

 

くれぐれも、給与の総額を労働日数で割って源泉所得税をもとめてはいけません。

そして、日雇労働者は「丙欄」になります。

 

その他、覚えておいた方が良い知識は

「給料が一日9,300円以上の場合は源泉徴収が必要になる」

 

という事です。

これを覚えておくとクライアントに説明する時にもすごく役に立ちます。

 

 

と言えば相手も分かりやすいと思います。

 

9,300円以上の日だけ計算すればいいんだなと分かります。

いかがでしたか?

 

日雇労働者への給与はあまり発生しないかもしれませんが、でてきた時に

「よく分からないからスルーしよ…」

だとマズイです。

 

日雇労働者の源泉徴収は難しいことはありませんので、この記事でぜひ基本的なことは覚えてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました