給与台帳と実際の支給金額がズレちゃってることって多いですよね。
入力後に未払費用をチェクすると残高が0になっていないと大変です。
ズレた原因は何なのか確認しなければなりません。
特に入力に慣れていない時期は、原因を探すのも大変だし、
その原因が分かっても、どうやって仕訳を修正したら良いかも分かりません。
私も同じような経験をしていました。
実務では簿記2・3級で習う取引以外にもイギュラーな取引がたくさん出てくるので、残高が合わないことがよく起こります。
なので、未経験者・初心者はそういった取引がでてくると、どうしていいのか分かりません。
それに、実務では誰かに質問しようと思っても、みんな忙しいと質問できないので、自力で解決しなければなりません。
というように、未経験者・初心者にとっていきなり自力で解決するのはかなりハードルが高いです。
なので、前もってイレギュラーな取引を知って、その解決方法を学んでおく必要があります。
今回はそのイレギューな取引の中の一つ、
「給与から社会保険料を誤って徴収し過ぎてし支給してしまった場合の仕訳方法」
について紹介します。
先に結論を言ってしまうと、「仮払金」を使って解決します。
この仮払金の仕訳処理は簿記2・3級では習わない実務的なスキルです。
ぜひ、最後まで読んでください。
残高について詳しく知りたい人はこの記事をぜひ読んでください。
簿記2・3級で習う仮払金の仕訳処理
簿記2・3級では、仮払金は「何に使ったか分からない支払に使う」
と教わりました。
まずは、既に学んだ処理方法についておさらいをします。
例えば、従業員が出張に行く前に5,000円の概算経費を手渡して、後日、従業員から使った経費の残りを返金してもらうとします。
5,000円を手渡した時の処理は
仮払金 / 現金 5,000円
で処理します。
従業員が出張中に支払った経費は以下とします。
顧客との打合せ 3,000円
交通費 1,000円
→合計4,000円
そうすると、従業員は手渡された現金5,000円の内、4,000円を使ったので、残り1,000円を会社に返金します。
会社に返金する時の仕訳処理は
会議費 3,000 / 仮払金 5,000
旅費交通費 1,000
現金 1,000
となります。
経過勘定として使う仮払金の処理【実務でよく使う】
上記で簿記2・3級で学ぶ仮払金の使い方についておさらいをしました。
しかし、これは超基本的な使い方です。
実際、私は実務でほぼ使っていません。
※出張前に前もって現金をわたさずに、従業員がポケットマネーから経費を立替て後日、会社が給与の支給と一緒に清算するというケースが多いです。
(立替経費は未払金で処理します)
実務では正しい損益をもとめるための経過勘定として仮払金を使う場合がおおいです。
私自身は仮払金を経過勘定をとしてうまく使えるようになってきたら、自分の入力レベルが上がってきたなと実感しました。
社会保険料が変わるタイミング
毎月の給与から差引かれる社会保険料の金額について、あまり気にしていないですよね。
なので、「毎月定額だから給与台帳は見なくていいや」と思っている社長さんもいます。
確かに、社会保険料は基本的に毎月定額ですが、金額が変わるタイミングはいくつかあります。
定時改定・随時改定・40歳を超えて介護保険料が発生するようになるケースなどなど。
そういう社長さんの場合、社会保険料が変わるタイミングなのに前月と同じ給与を支給してしまい、
「あっゴメン。給与間違えちゃったから、次の給与で調整するね」
ということが起こります。
このように、間違った給与額を支給してしまった時は会計処理も対応しなければなりません。
しかし、初心者はこういったイレギュラーな事態にすぐに対応できません。
なので、こういったイレギュラーな事態に対応できる会計処理を紹介していきます。
社会保険料を少なく徴収し,給与を過払いした場合は仮払金で処理する
今回は、正しい社会保険料よりも少ない金額で給与計算してしまい、給与を多く支払ってしまったケースを紹介します。
(給与から差引かれる社会保険料が少なければ、支給する給与もその分多くなります)
その場合、正しい社会保険料を計上して多く支給した分を仮払金で処理をしておき、次回の給与で仮払金を差引いて支給します。
それでは、よりイメージが付きやすいように、次に具体例をあげて説明します。
例えば、給与から徴収する社会保険料は12,000円ですが、10,000円しか徴収しなかったので、本来支払うべき給与よりも2,000円多く支給してしまったとします。
(源泉税も変わりますが、ここでは変わらないものとします)
次回の給与から2,000円を差引いて支給します。
社会保険料を誤って10,000円徴収した場合
●給与の計上(社会保険料を10,000円で計算)
給与 220,000円 | 未払費用 205,000円
| 預り金/社会保険料 10,000円
| 預り金/所得税 5,000円
〇給与の支給
未払費用 205,000円 | 預金 205,000円
しかし、社会保険料は12,000円なので本来の仕訳は以下になります。
社会保険料を正しく12,000円徴収した場合
本来の給与の計上(社会保険料12,000円を徴収)
給与 220,000円 | 未払費用 203,000円
| 預り金/社会保険料 12,000円
| 預り金/所得税 5,000円
〇給与の支給
未払費用 203,000円 | 預金 203,000円
しかし、実際に徴収した社会保険料が10,000円で、支給する給与も205,000円でした。
つまり、2,000円を多く給与を支払っているので、その分は仮払金で処理します。
修正すると以下のような支払になります。
社会保険料2,000円の差額を仮払金を使って処理する
〇給与の差引支給額205,000円はかえずに社会保険料を10,000円から12,000円に変えます。
そして、社会保険料の差額2,000円分を仮払金で処理します。
給与 220,000円 | 未払費用 205,000円
仮払金 2,000円 | 預り金/社会保険料 12,000円
| 預り金/所得税 5,000円
〇給与の支給
未払費用 205,000円 | 預金 205,000円
すると給与の支給後に仮払金が2,000円のこります。
後日、2,000円を現金で回収したら
現金 / 仮払金 2,000円
で処理します。
しかし、経験上は2,000円分を給与から差し引いて支給するケースが多いです。
203,000円から2,000円を差し引いて201,000円を支給する場合は以下のような仕訳になります。
〇給与の計上
給与 220,000円 | 未払費用 201,000円
| 預り金/社会保険料 12,000円
| 預り金/所得税 5,000円
| 仮払金 2,000円
〇給与の支給
未払費用 201,000円 | 預金 201,000円
まとめ
今回は社会保険料を給与から少なく徴収してしまい、給与を過大に支給してた場合の会計処理について紹介してきました。
過大に支給した分は仮払金で処理します。
簿記2・3級では仮払金は使途が分からない支払に使うと習いましたが、これは基本的なもので、実務では経過勘定で使う方が多いです。
経過勘定を使えるようになると入力のレベルは一段階上がります。
それでは、社会保険料を12,000円徴収するところを10,000円徴収していた場合の仕訳処理をおさらいします。
まずは、間違った処理です。
〇給与の計上(社会保険料を10,000円で計算)
給与 220,000円 | 未払費用 205,000円
| 預り金/社会保険料 10,000円
| 預り金/所得税 5,000円
〇給与の支給
未払費用 205,000円 | 預金 205,000円
次に給与の差引き支給額205,000円は変えずに、社会保険料の徴収額を10,000円から12,000円に修正します。
ポイントは社会保険料を10,000円から12,000円に修正した差額2,000円を仮払金で処理することです。
〇給与の計上
給与 220,000円 | 未払費用 205,000円
仮払金 2,000円 | 預り金/社会保険料 12,000円
| 預り金/所得税 5,000円
〇給与の支給
未払費用 205,000円 | 預金 205,000円
仮払金は後日、給与から2,000円を指しいて支給する時に取り崩します。
このように仮払金を経過勘定として使えると正しい損益を出せるようになって、入力のレベルが上がります。
ぜひ、この記事の内容を覚えて入力のレベルを上げてください。
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